original 2015


事の発端は、リイシイの一声でした。
「長いスカートは嫌いじゃないんだけど・・・ここはドレスとかフリフリな少女趣味なものしかないの?」
リイシイは、可愛いものは好きだが見る対象であって自分が身に着けるとなると好ましく思っていない。
ノユリは少し考えてみた後に、こう言った。
「一日頂ければ用意いたしますわ、そうですわね・・・カルファにでも頼みますわ」
『カルファ』という人物は、基本可愛いものしか興味がない事をリイシイは知っていた。
「少女趣味なのはお呼びじゃないわよ。そうね、布地は少なめで―」
「・・・?・・・っ!わかりましたわ♪」

翌朝―

「・・・言ったわよ。たしかに言ったわ・・・でも、何もここまでするなんて―」
リイシイは、ノユリの極端さにちょっとだけ嘆いていた。
何も着替えてから言わなくても・・・っとノユリは思った。
でも着てくれたという事は、それなりに気に入ってる?っともノユリは思った。
「まぁ、今日くらいは着ても良いわ、動きやすいし―」
リイシイは肌の露出に関して、あまり抵抗を感じていないといった様子。
そんな時にノアがやってきた。
「ノユリー、姉様(あねさま)どうなったー・・・って何て格好してんだよっ///」
部屋に入るなりノアは怒鳴る。
「べ、別に今日くらい良いでしょ!女がズボンはいちゃいけない?」
「そこが問題じゃねぇーっ、お願いだから着替えて!こっちが恥ずかしいっ!」
「はぁー?恥ずかしいのは、アンタの方よ!公務がないならそんな格好しないでよね!」
「俺だって好きで、こんな格好してる訳じゃねぇ!」
この双子の姉弟のやり取りをノユリは、微笑ましく見ていた。そう見てただけ・・・。
扉を全開にした状態だった為、そのやり取りは廊下にまで響いていた。
「どうしたんですか、朝から騒がしい・・・」
少し呆れ気味で全開の扉をノックしながら、レイローネが尋ねた。
それに気が付いたのはノユリだけだった。
「あら、レイローネ様おはようございます。」
「ノアの発狂、久しぶりですね。何かあったんです・・・かっ?!」
ノアの向こうには、ほぼ下着何だか水着なんだかわからない服を着たリイシイの姿があった。
レイローネは、自分のマントを脱いで慌てた感じでノアの視界からリイシイを隠す。
「なんて格好してんですかっ!こらノア、見ないでください!」
「いや、レイ、よくやった。そのまま隠しといて・・・このままだと俺、何しでかすか―」
男性陣には不評か・・・不評というより情けない―っといったご様子でノユリは、がっかりしていた。
残念そうなノユリを見つつも、ノアは目の前の光景を見ないよう目を伏せる。
そして、ノユリの肩をさりげなく押さえこう言った。
「ノユリ・・・姉様は何でも似合うだろうけど、これはさすがに・・・」
ちょっとばつの悪そうな表情でノユリは、ノアを見つめてこう言った。
「動きやすい服と言われたもので・・・つい(♪)」
「『つい(♪)』じゃないです。とにかくこれは駄目です。」
レイローネも目のやり場に困りながらもノユリにダメ出しする。
「・・・・・っ」
男性陣の反応を見て、リイシイは何だか違う感じで恥ずかしい思いをしたのでした。

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動きやすい服


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